豊胸手術が母乳育児に与える影響について

豊胸手術を希望する女性の中には、母乳育児についての不安を抱えている人もいるでしょう。この手術は乳房に直接施されるものなので、本当に大丈夫なのかという疑問を持つのは仕方のないことです。そこで今回は、豊胸手術が授乳に影響するのかどうかや、危険性に関すること、そして卒乳後の豊胸手術について分かりやすく紹介します。

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授乳への影響はあるのか

「豊胸手術をしていると、母乳が出にくくなる」といった授乳に関する悪い噂を目にしたことがある人もいるでしょう。これから出産や育児をする可能性のある人にとってはとても気になる話であり、豊胸手術を躊躇してしまうこともあるのではないでしょうか。

しかし、これは基本的に間違った情報だと言えます。なぜなら豊胸手術では、母乳に関わる組織である「乳腺」と呼ばれる部分に手を加えることはないからです。乳腺は、乳房にある組織であり、母乳をつくりだす働きをしている部分になります。

出産をするとホルモンの作用によって乳腺が発達していき、「お乳をつくる工場」として活発に働き始めます。豊胸手術では、この乳腺を切ったり除去したりすることはないため、お乳をつくる機能に影響が出ることはないのです。

あるいは、ヒアルロン酸などの注入剤を使用する豊胸手術を受けた場合、母乳にその成分が混ざるのではないかという不安を持っている人もいるかもしれません。しかし、こちらも基本的には心配する必要はないと言えるでしょう。

母乳の元となる栄養というのは、血液によって運ばれてくるものであり、乳房の中から集められるわけではありません。ですので、乳房の中に注入剤が入っていたとしても、母乳にそれが混入することはないのです。したがって、注入剤による施術を受けた場合も、特に心配する必要はないと言えるでしょう。

お乳が張るなどのトラブルへの悪影響はないのか

母乳育児をするときは、乳房や乳頭についてのトラブルが少なくありません。出産した後にお乳が張って痛みを感じたり、授乳するときに乳首が痛くなったりといったことが起こりうるのです。そのため、豊胸手術をするとこうした症状が悪化するのではないかという不安を持っている人もいるかもしれません。

しかし、豊胸がこうしたことに悪影響を及ぼすことは基本的にないと言われているので、その点は安心して良いと言えます。

ですが、乳房にバックを入れた状態だと、内部が窮屈になってお乳の張りを強く感じてしまうことが場合によってはあるかもしれません。ですので、気になるのであれば、手術をする前に医師に相談して、圧迫を受けにくいサイズにするなどの対策をとっておくのも良いでしょう。

また、バックを挿入する場合は、乳腺炎が発生したときにその炎症がバック周辺まで拡大してしまう可能性があることが指摘されています。乳腺炎というのは乳腺に母乳が溜まることで発生する症状なのですが、バックを入れていると乳房全体の炎症に発展してしまう場合があるということです。

ただし、こうした症状は、稀に発生するケースなので、実際にはほとんど起こらないと言われています。

乳房マッサージがしにくくなるというリスクがある

豊胸手術は、母乳をつくる機能や出産後のお乳の張りなどに悪影響を及ぼすことは基本的にない、ということを説明してきました。しかし、授乳をするときはリスクもあると言われているのです。母乳が出にくいときは、乳房を強めにマッサージすることで改善されることがありますが、乳房に異物が入っている状態だとそれがやりにくくなってしまいます。

豊胸手術ではバックを挿入する場合があり、グリグリと強めに揉んでしまうと内部にあるバックが破裂してしまうことがあります。バック自体は比較的頑丈にできているため簡単に破裂することはありませんが、劣化具合や力の入れ具合によっては破裂してしまう可能性があるのです。

そのため、あまり力を入れすぎないように注意しながらマッサージをすることも必要になるでしょう。そして、この乳房マッサージというのは、通常でもかなり痛みが伴うものであり、豊胸のバックが入っている状態で行うとさらに痛みが増すことがあります。

また、先ほども紹介した乳腺炎になってしまった場合は、母乳を絞り出すという処置をする必要があるのですが、乳房の中に異物があるとそれもやりにくくなってしまいます。


トラブルの事例も知っておく

豊胸手術が原因で起こる授乳に関するトラブルとしては、「母乳に菌が混ざってしまう」という事例があります。これは、豊胸手術に使われた注入剤によって感染症を引き起こしてしまったことが原因になっており、感染症によって生じた菌が母乳に混入してしまったという事例です。

こうした症状を引き起こしてしまうと、症状が改善するまで授乳ができなくなってしまいますし、授乳そのものを断念しなければならなくなります。もう1つの事例としては、「破裂したバックの液体が母乳に混入してしまう」というものが挙げられます。

本来であれば、たとえバックが破裂してもその液体が混入することはあり得ないのですが、ごく稀なケースとして報告されているのです。このようなトラブルは頻繁に起こるものではないのですが、思わぬ事故のリスクがあるということも知っておく必要があるでしょう。

卒乳後のバストサイズの低下について

ここまでは、出産前の豊胸手術に関することを紹介してきましたが、卒乳後にバストの悩みを抱える人もいます。出産をすると、乳腺が発達することによってバストサイズが2~3カップ程度増えますが、卒乳してしまうとバストサイズも小さくなってしまうのです。

これは、母乳をつくる役割を終えた乳腺が委縮するために起こってしまう現象なので、ある意味で仕方のないことだと言えます。しかし、中には授乳前よりもバストサイズが小さくなってしまうケースもあるため、元の状態に戻したいと考える人も少なくないのです。

こうした理由によって豊胸手術を検討している場合は、幹細胞豊胸術やピュアグラフト豊胸術を選ぶと、自然なバストアップが可能でしょう。あるいは、授乳中の大きなバストを希望するのであれば、バックプロテーゼ挿入法が適していると言えます。

ただし、数年後に再び出産をする可能性がある場合は、先ほど紹介したようなリスクがあることもよく考えた上で豊胸手術をするかどうかを決める必要があるでしょう。